FC2ブログ

ペデストリアン

土曜日のデパートの

前を行き交う人の、さざめき

春を待つのにふさわしく


吸い込んだ街の空気は

うつくしい涙の匂い


わたしは思う

いちばん素敵なやり方で

高らかに右手を挙げて

ひとりっきりで踊ってみたい


虚空の国の真ん中で

祈りを込めて、踊ってみたい。

無題

のうのうと

土曜の午後の街を ゆく

許されたような気分になって

もしも私が

やわらかな夜に 考える


明日の朝

私がいなくなったとしたら

あなたは泣いてしまうでしょうか

あなたは歌をうたうでしょうか


できれば 歌をうたってほしい



しずかな夜に 考える


もしいつか

私がいなくなったとしたら

あなたは泣いてしまうでしょうか

あなたは歌をうたうでしょうか


どうか 歌をうたってほしい


ささやかな翼のついた

青空みたいな歌がいい。

まぼろし

固く閉じた目の奥で

極彩色の花火が上がり

秋の真夜中

ふるえる心を抱き締める


音もなく

音もなく展開してく

その様は世界に似てて

私はいつも観客席

ひとりぼっちでそれを見ていた


燃え尽きて

かすかに部屋に残るのは

きっと

叶わなかった夢の匂い

交信

春の午睡は

他の季節と全然ちがう


青空を飛んでゆく

飛行機雲の 銀の音がして

向こう岸では

穏やかに家が燃えてて


なんにもなくて

なんにもなくて

頭の奥に

ほんのりと涙が溜まる


目覚めた後も

なんとなく呼び続けてる


もしもし

もしもし


わたし まだ

生きていますか?


アクセス数
プロフィール

fuko

Author:fuko

季節ごとに読めます

    

リンク